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Words full of epiphany

ここが始まりです。
私は暇なときによく詩を書いています。
思いついたこと、予め思いついていたことについて、誰からも忘れられないために、ここに記しておきます。

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#5. 夢の中で、とある飛竜の上から見た風景

尖塔を4つ構える石造りの城の庭園では
シルクのドレスを着た若い女性が
エリオット・カーターの功罪について
青い小鳥達と議論をしていた
「そもそもセット理論に基づいて和音の質が決まる、というのは
多少暴論じゃないかしら?」
「ぴぃぴぃ」
女性の容赦ない論調に負けじと
1羽の小鳥が自分の身体から引っこ抜いた羽をペンのように構えて
血気盛んにさえずりながら木の幹に自らの意見を刻んでいた

飛竜に乗って
この美しい大地の上を
どこまでも飛んで行けたら…

農村地帯が見えてくる
先ほどの女性の服装が再び頭に蘇る
ポインセチアの小さな刺繍がいくつも施されたドレス
髪飾りには白薔薇のコサージュ
彼女はこの田園風景を見たことがあるのだろうか
インターネットで見たことぐらいはあるだろうな
彼女はこの国の王女なんだから
マーチ・ヘアーを従えて
スナークを求める一団を
マス・メディアとして消費しているのだ

飛竜の氷のような吐息が
湖を白く染めていく

眼前に火山が現れる
かつて魔力の指輪をあの山に捨てるために
小人やエルフ達が旅をしていた
今ではアイドルグループのプロモーションビデオの撮影現場として有名になってしまった
今日もアルファベット3文字の50人程度のグループを求めて
ファン達が長蛇の列を成している
火山が噴火すればいいのに
火砕流に飲み込まれて
みんないなくなってしまえばいいのに
僕の気持ちを敏感に汲み取った飛竜が咆哮する
しかしファン達の耳にその声は届かない
真空管で高次倍音を過剰に増幅された歌だけが
彼らの耳を満たすのだ
内容なんてどうでもいいんだ
エリオット・カーターの努力を返して欲しい


これは夢なんだなと思った
だから僕は必死になって目覚めようとした
王女の涙
骨の笏杖
熾天使の羽
ぐるぐる回転するイメージ
スーセントマリーの眺望
古びた水車小屋
狩られるスナーク
ゴレイザーとの融和
W・ベンヤミンの悲劇
ゴブレットと聖水
ぐるぐる伸縮するヴィジョン



目を覚ますことができた
でも現実はもっと醜かった

2015 12 16

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#4. 朝顔

涼風が吹き荒ぶ午後
漣は水泡を散らす
岩壁を横切る子蟹が一匹
瞳孔を開いて狙う鯱

一輪の朝顔が
死を迎え花弁(ペタル)を散らす
生命の枯渇を見つめ
僕は遊歩道を進む
昔訪れた図書館に
貴方の幻を信じながら

それは翡翠(ジェイド)の首輪が
煌々と光を讃える幻
Jil Sander の籠中の電子手帳(タブレット)に
憂いを誘う黒縁眼鏡

朝顔は再び開花する
折しも夜天に星雲輝き
カシオピヤの玲瓏たるを垣間見る
貴方が夢に蘇ってくるのだ

2015 9 27

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#3. 2進数の祈り

死ぬ方法が一つしか経験できないという贅沢な悩みに身を委ねてしまったせいで
何度も死ぬ思いをする人の存在を想像出来ない
解釈論の固定観念に憑依されて
命を把握して編集している
バイナリデータを弄るがごとく

以前に論理学について詳しくなろうとしていたことがあったが
それ自体はいかにも人間らしい発想で出来ている
公式の機械的適用や命令の数値化
外部の干渉さえ無ければ便利な物になると予測される
そこで干渉を管理する新たな論理学が用いられる
有機的に結びつく
その結果としてでしか私達は死ぬことを調整できない

残念なことに全ての事象が結び付かないことはいくつかの方法によって証明されているが
私は小さな頃はそんなことを知らなかった
無限の関連度を持ったネットワークを想定してしまっていた
その根拠が揺らいだ今となっては
死ぬことを恐れずにはいられないのだ
それは誰にも結びつけることの出来ない微かな糸
もはや線的なものですらないだろう

小さい頃は確かに神様がいた
とても非決定的な存在
今の私に想定出来ない
ひょっとすると私自体が世界から想定されてないのかもしれない
私は携帯電話に向かって喋り続ける時
相手は携帯電話に過ぎない
私が何をしようと変わることはない

存在の非確実性の太陽から
不存在の絶対性の泉に
私は身体を浸し変えた
私に平安をお与えください

2012 11 17

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#2. h..c_fi&clv/nice

それは僕が作ったおとぎ話
君と僕が結ばれるハッピーエンドなお話
でも僕たちはあくまで記号的な関係しか持つことができない

文字列に意味はない
時間経過に意味はない
関連性に意味はない
だとすると僕はどこにいるんだろう?

ジュール・ミシュレがルネサンスという語を使用したおかげで
後世の音楽家がトマス・ルイス・ビクトリアの曲をルネサンス音楽だと分類する
しかしルネサンス音楽というものは実際の音楽内容からすると
個人が一生涯掛けても把握できないほどのレパートリーが存在する
いくつかの学派に分類することはできても
ルネサンスの長い時代を通して音楽は変化している
そもそも人が主観的に考える音楽が似通ったものになるはずはないのだ
記号としての音楽に意味を見出すことは僕にはできない

携帯電話の予測変換機能が通奏低音的に僕の叙述を支えてくれる
LINEのスタンプが通奏低音的に君と僕の会話をつないでくれる
有機的な記号体系をバックボーンとして
僕たちは表舞台で自由に踊ることができる

*ルネこだいら大ホールにてのルー君とメグちゃんの会話の一部↓

「コンサートホールが音楽表現にもたらす影響なんてとても限定的なものだと思うよ
大昔のものに比べて今のホールはとても広くなってるけど
狭かろうが広かろうが音色が多少変化しようが音列は音列に過ぎないよ
反響板だってずっと響くものを使ってるけど
音が反響すればいいってものじゃない
リバーブの掛かり過ぎたシューゲイザーみたいな音楽ばかり聴いてたら耳が痛くなるよ」
「でもストラヴィンスキーのペトルーシュカのイントロは
音の密度がとっても近代的でシューゲイザーに割と似てる気がするよ
ねぇ、私は音楽は気の持ちようだと思うの
一つの評論が産むのは所詮は一つの思い違いであって
私達に考える力が備わっているだけで単音を和音として聴くことだってできるんだから」

(*ルネこだいらは西武線小平駅から徒歩10分ほどの場所にある音楽ホールで
僕が大学生のころ住んでいた国分寺のアパートから自転車で30分ほどで行くことができたため
このような架空の会話の舞台として非常に適していると思われるのだ)

気づいたら夜は更けていた
そして僕と君はずっと一緒にいることになった
今は今で人生が充実してると思えるよ
記号を解読する必要がないことがとっても嬉しくって

2014 10 9

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#1. prelude

「運命なんて信じられないものだぜ」
彼にそう伝えた
「河原の石を拾って投げたって
水を切って跳ねさせるには訓練が必要なんだ」
「君が未来に対してある種の訓練を行っているのは知ってるけど
それによって得られたものはあったかい?」
家財道具、安らぎの場所、稲の豊穣、
どれも手に取ると滑るように逃げて行った
「君はもう気が付いてるんじゃないか」
「君が望んだ所でこの世界は
優しい言葉を掛けてはくれないんだ」
彼のことはよく知っていた
いつも彼の行動を見てきて
考えることに共感していた
だからこそ彼に厳しい言葉を投げ続けないといけなかった
間断なく言葉を浴びせかける
「未来とは人が定義できるものではない」
「すべての夢が潰えてしまって
真夏のドライアイスのように気化していまう
漠然とした場所なんだよ!」
「君はそこに一切の関連性を持たないんだから
もう諦めてもらえないか?」

彼は僕だった
「どうして僕は生きてるのかな?」
長い間叫び続けて
僕は疲れ切っていた
「僕は死んでしまった方がいいような気がするんだ」
僕の声はどことなく苦しげだった
悪魔が商売にやってきて
僕の魂を買い取って欲しいとさえ思えた
「ねえ、答えは出たかな?」

俯いて話を聞いていた彼は
やがて真っ直ぐに顔を上げた
彼の周りには誰一人いなかった
誰もいない方向を見つめて
少しだけ哀しげな顔で微笑みながら
彼はしっかりとした声で
僕に向かって返事をした
『怖がる必要はないよ
絶望することもない
それが僕達の始まりなんだ』

2014 8 15

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Touch0225

Author:Touch0225
神奈川県在住

音楽を聴いたり、作ったり
するのが好きです。
時々日記を更新します。

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