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仕事柄電話を受けることが多いです。
気付いたら倉庫作業員からテレフォンオペレータになっていました。
以前と比べて疲労の蓄積が明らかに少なく、業務内容もより知的労働に近づき、私としては大変喜ばしいです。
1年ほど前は、頭を使うだけでは生きていけないという社会の現実を突き付けられていましたが、
別の社会も存在することを知ることができてよかったです。

電話を受ける時に私が最も気にしているのは、相手の会社の電話機で使用している保留音です。
保留ボタンを押された際に、機械的に流れ出す無機質な音楽です。
それは誰が選んだ訳でもなく、気付いた時にははじめから横たわっていたかのように存在しているのだと思います。
誰かの好みが介入する余地は無いでしょう。
なぜならば通常その音楽は誰かに気にしてもらうことはないからです。
携帯電話の着信音は、使用者の趣味を表すために使用されることさえあります。
私が中学生の頃なんかは、当時流行していたインディーズバンドの音楽を、
皆でこぞって着信音にして、パンクロックが好きだということをアピールしていました。
しかし会社で公的に利用される電話機の保留音の場合は、そのようなアピールは却って邪魔にさえなってしまいます。
結果として保留音は可能な限りシンプルな、無機質な物へと設定されていきます。
それは聞く人によってはもはや音楽とさえ受け取られないかもしれません。

しかし私は、そんな無機質な音楽が大好きなのです。
私の最も好きな音色はsine wave(倍音・上音の類が一切含まれていない、単純な波の振動のみによって聴こえる音)ですが、
それは本当に飾り気のない音色で、聞く人によってはとても退屈な印象を受けることでしょう。
でも単純な音色でしか表現できないことは確かに存在します。
例えば和音の美しい響きを得ることができます。
煌びやかな音色だと時として倍音が邪魔をして、単純な3度音程や完全5度音程さえ騒がしく聞こえてしまうこともあります。
電話機の保留音は、聴いていると本当に心地よい和音です。
なので私はつい仕事を忘れて、音楽についての考えに耽ってしまうのです。

そんな保留音ですが、相手の会社によって実に様々な個性があります。
いくつか紹介してみましょう。

・グリーンスリーブス
イギリスの有名な民謡ですが、私が知る範囲で4つのバージョンを確認できました。
1.イ短調、3和音のバージョン
第1声部 A-|C---D-|E--FE-|D---B-|G--AB-…
第2声部 --|A-----|A-----|G-----|G-----…
これだけで雰囲気をつかんでいただけるでしょうか?
冒頭はこんな感じです。
3和音目は2箇所の完全終止を完全終止たらしめるべく、ACAの3和音を作るためだけに使われています。
他の箇所では一切使われていないあたりに、最後は何としても終止に導くという編曲者のこだわりを感じます。
音色はよくわかりませんが、アタックの強い三角波のような感じだと思います。
ちなみに後半はこんな感じでドリア旋法(短調の旋律の第6音目(今回はF)が半音高くなる)風味です。
第1声部 G-----|G--FisE-|D---B-|G--AB-|C---A-|A--GisA-|B---Gis-|E-----…
第2声部 C-G-E-|G-----|B-G-D-|G-----|F-A-C-|F---D-|E---D-|B-Gis-E-…

2.イ短調、2和音、メロディ違い
前半は冒頭は1と全く同じメロディですが、音色が違います。
後半は低声部の音数が少なくバス音を奏でていません。
第1声部 G-----|G--FisE-|D---B-|G--AB-|C---A-|A--GisA-|B---Gis-|E-----…
第2声部 C---E-|C-----|B---D-|B-----|A---C-|A--CE-|Gis---D-|E-B-Gis-…
1のバージョンの和音(便宜上英語式コード進行で表す)は、2小節ごとにC→G→F→E→と推移していきます。
それに聴き慣れていた私は、2のバージョンを聴いて違和感を覚えました。
2のバージョンだと第2声部があまり関係ない動きをしています。
5,6小節目はFではなくAmの和音になっています。
参考までにYoutubeでいくつかの演奏動画を聴き比べましたが、
動画によってこの部分の和音は異なりました。

3.イ短調(Aドリア)、2和音
最初の旋律のFが半音高くなって、ドリア旋法になっています。
第1声部 A-|C---D-|E--FisE-|D---B-|G--AB-…
このバージョンは数回しか聴いたことがないので、あまり覚えていません。
このあたりの解釈も、Youtubeだと動画によって様々でした。
個人的にはドリアの方が民謡っぽくて好きですね。
wikipediaによると、15世紀ごろの作曲ということなので、
時代的に原曲がドリア旋法によって作られている可能性も比較的高そうです。

4.ホ短調、3和音ぐらい、オルゴール風
音色がオルゴールっぽいバージョンです。
旋律は前半後半ともに普通の短調です。
やや暗い雰囲気で、聴いていて感傷的な気分になるため、仕事中はあまり流れてほしくないですね。

つい長く解説してしまいましたが、このように保留音は似ているようで実はたくさんの種類があるのです。
同じ曲にもいろんな編曲があって、聴き比べていると楽しくなります。

・愛の挨拶
エドワード・エルガーの代表的な曲です。
これもいくつか種類がありますが、印象的なものを2つだけ紹介します。

1.ピアノ版
ホ長調で音色もピアノ風で、原曲に近いと思います。
IMSLP(無料で著作権切れの楽譜を閲覧できるサイト)でピアノソロ譜を見てみましたが、全く同じかもしれません。
テンポのゆらぎも結構こだわっているようで、
仕事をせずにいつまでも聴いていたい気分になります。

2.三角波単音版
1とは正反対に、無機質の極みです。
音程はこんな感じです。
Gis-BGisFisEDisE|A-A-A-B-|Gis-BGisFisEDisE|Fis-Fis-Fis--Fisis|Gis-BGisFisEDisE|Cis-Cis-Cis-BA|Gis-FisECis-Dis-|E-----B-|(ホ短調)G-FisEC-DE|Fis-EDB-CD|E-FisGA-BC|D-FisED--D|
単音で休符も無いので書きやすいのは助かりますが、
なんとも中途半端に途切れます。
0.7拍ほど置いてループしますが、増4度に跳躍するあたりにもやる気を感じられません。
音色のADSR(アタック・ディケイ・サステイン・リリース)もろくに設定されてなくて、
とりあえず作ってみたよ感が満載なのですが、
それはそれで私は結構面白がって聴いています。

・おまえが欲しい
エリック・サティの名曲で、無印良品でよく流れてるそうです。
音色はシンプルですが、私がとても好きな曲なので、通話中に流れて来るだけでとてもテンションが高まります。
ハ長調とホ長調のバージョンを聴いたことがありますが、
私はハ長調の方が好みです。

・Here comes the sun
ビートルズの、これまた名曲です。
音色は一昔前の携帯電話の着信音風で、和音数も多いです。
途中の変拍子のところまで再現されていて、こだわりを感じます。

・Let it be
Here ~と違って単音で流れて来ます。
愛の挨拶(単音版)と雰囲気は似ていますが、さらに退屈です。
なぜか長い休符がしばしば省略されていて、所々変拍子になります。
yesterdayの冒頭のメロディが7小節単位で作曲されている、というのとは次元が違います。
やたら高音部が強調されていて攻撃的な音色で、
オクターブも高いので受話器をあてていると耳が痛くなります。
そもそもさほど好きな曲ではありません。

・Punky bad hip
ブランキージェットシティの名曲です。
保留音ではなかったのですが、一度だけ電話中にお客様側のオーディオから流れて来て、
思わず少しだけ反応してしまったのです。
イントロのベンジーの叫びを聴いて、若い頃の魂が呼び覚まされました。

まだまだ紹介しきれてない保留音はたくさんありますが、
きりがないのでこの辺りで止めておこうと思います。
何事も中庸が大事なのです。
電話というと、本日は大学時代の先輩の壮行会が開催されていて、
(新たな勤務先はオーストラリアです!)
サークルの先輩たちや友人たちといっぱい通話しました。
福岡と東京で距離は離れていますが、懐かしい声が聞けてとても幸せな気分になりました。
時代が走り続けているとしても、電話は今のままであってほしいと思います。

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Author:Touch0225
神奈川県在住

音楽を聴いたり、作ったり
するのが好きです。
時々日記を更新します。

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